個展の制作秘話が続きますが、陶芸をコンスタントに続けていると、材料や道具を揃えたくなる時期があると思います。ネットで簡単に取り寄せでき、沢山買った方が割安になったり、一定金額以上買うと送料が無料になったりするので、必要以上に買ってしまうこともありました。
粘土や釉薬は冬期間の保管状態によっては、ダメになってしまうこともあると思いますが、それ以外のものは特に消費期限などはないと思います。なので、何年も使わないまま放置していることも多いです。
そろそろ本気で断捨離しないとなー。というわけで、使えるものは使い切って、要らないものはバッサリ捨てていきたいと思っています。
カラフルな小人の家
気付いたらゴレンジャーになっていましたが、個展用にカラフルな小人の家を作りました。真ん中のアカレンジャーは新しく仕入れた釉薬を使っていますが、それ以外は残っていた練り込み顔料を使いました。顔料はこれまでにも何度か使っていますが、反省点を振り返りながら、制作過程を紹介したいと思います。
1.粘土の再生(5月20日)
粘土の再生については、これまでにも書いたことがありますが、私の場合、自分で仕入れた粘土を使うことも多いので、粘土の管理は自分でしないといけません。私が仕入れている粘土といえば、焼き上がりが真っ白になる上信楽土や半磁器土を20kg単位で仕入れています。
ロクロ挽きするときに、高台の部分を厚く残しているので、20kg挽いたら、10kgぐらいは削りカスになります。素焼き前の粘土は、再生すれば何度でも使えますが、その作業が面倒で、2年分ぐらいは溜まっていました。6月のイベント準備の時にやっと再生して、しばらく寝かせておきました。
完全に乾いた粘土を再生する時は、できるだけ細かく砕くといいです。
たっぷりの水と合わせて、1~2時間放置しておくと、カッサカサの粘土が、水を吸ってドロドロになってきます。
サラシのような布に水分を吸収させる方法もありますが、私はそのまま石膏板に乗せて放置するだけです。何度かひっくり返していくと、2~3時間でまとめられるぐらいの柔らかさになります。
朝から取り組めば、夕方までにはいい感じになります。急いでいるときは、翌日に使うこともありますが、2週間~1ヶ月ぐらい寝かせておくと粘り気も出てきて、さらに使いやすくなります。
2.色粘土作り(9月30日)
陶芸を始めた年は、手びねりで色々な技法を教えてもらいました。白系の粘土に顔料を混ぜて、色粘土を作り、市松模様や金太郎飴風の器を作る練り込み技法を教えてもらったことがありました。
その時買った顔料がまだ残っていたので、かれこれ12年モノになります。当時通っていた教室で在庫していたものなので、実際にはもっと経っていると思います。
その後、自分で仕入れたものもあり、使いかけが4色(レモン、ピンク、トルコブルー、グリーン)ありました。この他、手を付けていない新品が何色か残っていますが・・・。笑
色粘土の作り方に関しては、超適当なので参考にはなりませんが、直接粘土に練り込んでいるだけです。水で溶かしたりもしていません。
顔料の重さも計っていないので、濃度も適当ですが、本来ならば粘土と顔料の量を正確に計って、割合を出しておくといいと思います。
ざっくりですが、再生した粘土は12kgあったので、4等分して3kgずつに分けました。
それをさらに2kgと1kgに分けて、2kgの方に顔料を混ぜて、濃い色粘土を作りました。
濃い色粘土から、500gとって、1kgに混ぜて、薄い色粘土を作りました。
これで、濃い色粘土と薄い色粘土が1.5kgずつ出来上がりました。ビニールに入れて、何色だったか書いておきます。この粘土はすぐに使わず、2週間ほど寝かせてから使いました。
3.ロクロ挽き(10月13日)
小人の家の本体は白粘土で、屋根と煙突を色粘土で挽きました。各色一つだけは、薄い色粘土で本体を挽きました。
色の違う粘土を使って作業をするときは、他の粘土に色が混ざらないように、薄い色→濃い色で作業するといいです。白→レモン(薄)→レモン(濃)→ピンク(薄)→ピンク(濃)→トルコブルー(薄)→トルコブルー(濃)→グリーン(薄)→グリーン(濃)の順にロクロ挽きしたと思います。
今回は余った粘土や顔料の消費のため色粘土の試作を兼ねていたこともありますが、粘土を変えるたびに、ロクロを綺麗にして、ドベ受けを洗わなければいけないので、量産するならば、同じ色を1回で沢山挽く方が効率がいいです。
この段階では、色の違いは分かりますが、一応付箋を付けておきました。
4.削りと装飾(10月14日)
10月は制作に追われていて、週末は朝から晩まで陶芸教室に通っていて、かなりペースが上がっていました。
屋根と扉の色を合わせると可愛いなーと思い、扉は色粘土を使っています。
困ったことに乾燥が進むにつれ、色粘土の区別が付かなくなり、グリーン以外の薄い粘土は全然分からなくなってきました。何色か分かるようにマークやサインを付けておくべきだったと思います。
5.施釉(11月10日)
個展まで2週間という所で、素焼きが上がりました。この時に困ったのは、前述の通り、屋根が何色か分からないことでした。濃い色粘土を使っているものは、下の写真でも分かりますが、薄い色粘土を使ったものが、ワケ分からんのですよ。本体の扉にも色粘土を使ったので、屋根と扉の色を合わせたいのに、なかなかどうして、これが難しいのです。
本体と屋根の組み合わせが決まれば、透明の釉薬を掛けるだけなので早いです。 個展に向けた窯入れはこれが最後だったので、あとは成るようになるだけです。
私の作品だけで、ほぼいっぱいになりました。屋根がツーンと尖った小人の家は窯のスペースを無駄に使うので、嫌がられますけど。^^;
6.窯出し(11月17日)
個展の1週間前に窯出しが終わりました。テーブルの上に並べられた小人の家とマグは圧巻でした。
トルコブルーレンジャー(アオレンジャー)は、可愛らしい色になりました。
モモレンジャーも可愛らしい色で、いい感じでした。
ミドレンジャーは、色もはっきり出ていて分かりやすいです。
キレンジャーは薄かったです。使った顔料の量はほぼ同じだったので、レモンという顔料はこんな感じなのだと思います。
屋根の色が分からなくて、そのままにしたものです。これはこれで可愛いです。
アカレンジャーは釉薬です。扉は筆で塗り、屋根はチャポンとやってます。
窯出し後には全ての小人の家を並べて、本物のキャンドルを使って撮影をしました。個展用に作った小人の家は、煙突に穴を開けていないので熱がこもって危険でした。
灯りを使いたいときは、LEDキャンドルなど、人工的なものを使うといいです。
来年の制作テーマは既に決まっていますが、今回の色粘土を使った小人の家はいい経験になりました。小人の家もまた作って欲しいというリクエストも多いので、バージョンアップしていきたいです。
今回、五郎さんのリクエストでキノコ(ベニテングダケ)も作りました。その話はまた別の機会で書きたいと思います。