陶芸を始めて3年。技術もそれなりに身に付いてきたかな...という時期に入ってきて、「私らしさ」を出していきたいと思うようになってきた。だがしかし、料理や花に興味があるわけでもなく、絵心も造形のセンスも全くない...陶芸は好きだけど、何を作っていいのかわからなくなってきた。
これが「スランプ」というやつなんだろう。
もともと食器にこだわるタイプでもないし、人の作品にそれほど興味を持っていなかった。自分の目で見て、実際に触れて刺激を受け、感性を研ぎ澄ませよう。ドライブにもいい時期になってきたので、北海道の窯元巡りをしてみようと思いついた。
カーナビも付けていないし、極度の方向音痴の私が知らない町を回れるだろうか...と一抹の不安を抱えてながらも、携帯電話の「助手席ナビ」を使って、私が住んでいる町からスタートした。
「無路陶房」は、砂川慈恵会病院のさらにずっと奥にあるようだった。途中までナビに従って行ったものの、「目的地付近です。ナビを終了します。」という残酷なアナウンスが流れた。「熊出没注意!」という看板もある。
まだ先に行くのか不安になったので、畑仕事をしていたお母さんに道を尋ねた。
「この辺に陶芸の窯元があるって聞いたんですけど...」
「この道をまっすぐ、ずーっとだよ。」
その道がちょうど行き止まりになるところに、昔は学校だったろうという、木造の建物があった。看板などはなくて、開いているのか、閉まっているのかよくわからなかったが、おそるおそる入り口のドアを開けた。
「こんにちは~」と挨拶をしても、返事はなかった。それでも、中で物音が聞こえたので、さらに大声で挨拶をすると、「は~い」と返事があり、長谷川氏が顔を出した。
「見学してもいいですか?」と声を掛けて、中を見せてもらった。写真撮影とブログ掲載の許可をもらい、作品を見せてもらった。
所狭しと並べられた作品の数々。そば柄や花柄のシンプルで使いやすそうな食器が中心だった。
手作りの陶器はお値段もそれなりなのは無論承知。一つも買わず(;´▽`A“ 長谷川氏にインタビュー。
砂川市のかなり山奥に位置するこの「無路陶房」は、廃校になった学校を利用したアトリエで、23年前から始めたそう。以前、パソコンの関係で奥様と面識があったこともあり、陶芸の話をたくさん聞かせてもらった。
陶芸の腕もさることながら、「そば打ち」もされているそうで、以前そば打ち体験に行った「そば工房つるつる 」さんでは、こちらの陶器を使っている。つるつるで指導してくれた浅木さんとはそば打ち仲間だそう。
今週末に行われる「新十津川陶芸まつり 」の実行委員をしているそうで、もちろん出展もするので、ぜひ足を運んでもらいたい。
帰り道では、「蛇」と遭遇。これぞ、北海道。
追記:長谷川徹氏は2010年4月3日にご逝去されました。北海道の陶芸作品の発展に多大な貢献をされました。心よりご冥福をお祈りいたします。