鎬(しのぎ)を入れる理由

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最近の傾向として、軽い器が増えているように思います。見た目は重そうなのに実際に持ってみるとすごく軽い仕上がりで、そのギャップに驚くことがあります。

私もこれまで何度かイベントに出店していますが、器たちを手に持ったときに「手づくりはいいけど、重いのよねぇ…」と、重さを指摘される奥様方が多いのも事実です。男性はさほど迷わず、第一印象で選ぶ傾向にあり、重さを気にする人はほとんどいないような気がします。女性はいくつかの候補を手に持って、デザイン、重さ、使い勝手など、色々な視点から考えて決める人が多いように思います。男女の脳の作りは違うといいますが、モノを選ぶときにも現れてきます。

陶芸を始めて3年目ぐらいの頃、ものすご~く薄く削り上げていたこともありましたが、陶器の場合は、磁器よりも弱くてもろいので、あまり薄いと欠けやすくなってしまうので、最近はある程度の厚さは必要だと考えています。そもそも、削り上げて仕上げるのは磁器の世界です。陶器の場合は、腰から下と高台の部分だけを削るように挽かなければならないのです。

昨晩、化粧土を施したお茶碗が気になっていました。何度手に取っても、やはり「重い」のです。まだ発泡スチロールに入れたままで、乾燥はそれほど進んでいなかったので、鎬(しのぎ)を入れることにしました。デザインとして鎬を入れることが多いと思いますが、私の場合、減量のための苦し紛れの策ですね…(^^ゞ 一般的には鎬を入れてから化粧土を掛け、粉引きにすることが多いと思いますが、このまま掻き落としでいきます。この段階で手を掛けることで仕上がりが変わってくるので、とても大切なことだと思います。時間が限られている教室やサークルではなかなか取り組めないので、やはり自宅に持ち帰って仕上げるのが一番なのかもしれません。

鎬

落款(陶印)を押してサインを入れます。カチカチだった粘土の塊に命が注がれた感じがします。このプロセスが好きです。

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