若い頃は何のプランも立てずにふらっと旅に出ることが多々ありましたが、山に登るようになってからは、緻密な計画を立て、タイミングを見計らって、一気に実行することが多くなってきたような気がします。これからの大きな目標としては、アフリカ大陸最高峰の「キリマンジャロ(5,895m)」を目指しています。明確な理由は特になく「みんな聞いたことある山だから」というそんなミーハーな動機からです。(^^ゞ
マレーシア最高峰キナバル山
今回のキナバル山については、キリマンジャロに向けての高度順応と夏山スタートを兼ねたものでしたが、実際に行ってみたら想像をはるかに超える素晴らしさだったので、毎年(は無理だけど)の恒例行事にしたいと思うようになりました。
富士山をやめ、キナバル山へ
当初の計画では、富士山(3,776m)で高度順応できるかどうか試してみて、2017年に「キリマンジャロ」と思っていましたが、四季のはっきりした日本では、気軽に登れる期間は限られています。富士山の山開きは7月1日~9月15日頃までの2ヵ月半ほどですが、2015年の登山者数は23万人超で、一日平均すると3,000人になります。当然、天候が悪く入山者の少ない日もあるし、平日よりも土日の方が混雑するので、条件の良い日はかなりの登山者がいるということですね。
平成27年夏期の富士山登山者数について (外部リンク)
人が多い山はあまり好きではないし、この時期は北海道の山に登りたいこともあって、富士山に登って高度順応するのがベストな選択とは思えなくなり「それなら気候の違う国の山に登ればいいや」と思いつき、3月に入ってからキナバル山について詳しく調べるようになりました。
上の写真は帰りの機内から見えたキナバル山です。マレーシアの重要な観光資源なので、2015年6月地震で登山道の一部が崩壊し、入山規制されていました。ポーターやガイドは重い荷を担ぎあげて、登山道を再整備し、同じ年の12月には再開しました。多くの人の生活を支え、世界遺産として保護されている貴重な山の頂に立てて良かったと思いました。実際に歩いていた時よりも、下山してからの方がジワジワと感動が込み上げてきました。
山にはパワーがあります。真摯な気持ちで向き合えば、そのパワーを享受することもできるし、反対に自分のパワーを奪われることもあります。
キナバル山を焦点にした理由は3つ
日本からキリマンジャロへ登るには、航空券と入山にかかる費用を合わせると安くても40万円ほどかかると思います。標高5,000mを超えると誰でも多かれ少なかれ高度障害の症状は出てくるようですが、それだけのお金をかけるのだから、手始めにそれなりの山に登っておきたいと思うのが心情でしょう。北海道からだとどこへ行くのもワンクッションあるので、富士山に行くのとマレーシアに行くのと交通費に関してはさほど変わらないと思いました。
- 物価の安さ(日本の3~4分の1ほど)
- 山の高さ(富士山よりも少しだけ高い)
- いつでも登れる(乾季と雨季はあるものの年間を通して寒暖の差が少ない)
私は地理にも疎くて、マレーシアがどこにあるのかもよく分かっていませんでしたが、調べていくうちにだんだんと夢が膨らんできました。同じ場所へ行くのにも何通りもの方法がありますが、何とかして安く行く方法がないかと、ありとあらゆるサイトで入念に下調べをしていきました。まぁ、この時間が一番楽しいと言っても過言ではないでしょう。
北海道からキナバル山へ行くには
キナバル山に登るためには、ボルネオ島のマレーシア領北部に位置する「コタキナバル」へ行く必要があります。コタキナバルからキナバル国立公園までは車で2時間ほどかかりますが、現地に行けばすぐに登れるわけではなくて、事前に山小屋の確保をしなければなりません。地震で壊れた山小屋もあるので、今使えるのは3つだったと思います。ベッド数は全部合わせて130ぐらいだと思います。入山する際にはガイドの同行が義務付けられているので、ガイドやポーターを合わせても一日の入山者数は200人程度でしょう。
日本からのパッケージツアーだと成田発着で16万円ぐらいからあるので、個人で色々手配するのが面倒ならばパッケージツアーを利用するのがいいと思いますが、私は団体行動があまり好きではないし、自分のタイミングで行きたかったので、航空券、ホテル、キナバル入山(山小屋確保)を別々に手配しました。
北海道からコタキナバルへ行く場合、最も早い方法は成田まで移動して、コタキナバル直行便を使う方法だと思いますが、エアアジアでは新千歳からクアラルンプール行きが週4便運航しているし、クアラルンプールからコタキナバルへはガンガン飛ばしています。他にアシアナ航空を使って仁川経由でコタキナバルに行く方法もあります。
- 北海道各空港⇔成田⇔コタキナバル直行便
- 新千歳⇔クアラルンプール⇔コタキナバル
- 新千歳⇔仁川⇔コタキナバル
しかし、北海道は広いので住んでいる場所によって、空港の選択肢も違います。これまでどこに行くのにも新千歳空港を使っていましたが、我が家からだと旭川空港が一番近いし、駐車料金も安く、コンパクトで搭乗手続きがとてもスムーズだという評判を聞いていたので、東京までの便数は少なくなりますが、新千歳空港発着便との差が1万円以内ならば、旭川空港発着にしようと思い、結果的に旭川空港発着→コタキナバルまでの往復で6万円を切るチケットが見つかりました。
安さ重視で選んだフライト内容と費用、国内の移動にかかった費用は次のとおりです。
- 【往路】旭川→羽田(空港移動)成田→クアラルンプール→コタキナバル(約22時間)
2016年5月7日(土) 13:10 旭川 → 2016年5月7日(土) 14:55 羽田
2016年5月7日(土) 21:40 成田 → 翌日2016年5月8日(日) 04:00 クアラルンプール
2016年5月8日(日) 09:05 クアラルンプール → 2016年5月8日(日) 11:45 コタキナバル - 【復路】コタキナバル→成田(空港移動)羽田→旭川(約12時間)
2016年5月12日(木) 07:40 コタキナバル → 2016年5月12日(木) 14:20 成田
2016年5月12日(木) 18:00 羽田 → 2016年5月12日(木) 19:35 旭川 - 【航空券諸費用合計】58,150円
- 【リムジンバス往復】6,200円
- 【旭川空港駐車料金】2,500円
私が乗ったルートはこんな感じです。往路が赤、復路が青です。
航空券の比較では「スカイスキャナー」を使うことが多いです。出発日を指定しなくても最安値が調べられるのでコスパ重視で比較ができます。
ミニマムでスピーディーな旭川空港
今回初めて利用した旭川空港は東神楽町にありますが、広々とした平置きの駐車場があります。駐車料金は1泊500円という良心的な価格です。
国内線は、ANAとJAL(AIRDO共同運航便)がありますが、入口から20歩ぐらいで、搭乗カウンターがあるので、すぐに手続きができます。念のため1時間半ほど前に着くように行きましたが、手続きは5分で終了し、とてつもなくスムーズで驚きました。
コンパクトながらも売店やレストランもあるので、必要十分といった感じです。便数はそれほど多くありませんが、大雪山も十勝連峰も近いので、ロケーションも気に入りました。
リムジンバスの素晴らしさ
旭川空港からは羽田行きのフライトしかないので、成田へ移動する必要がありました。GW後半ということもあり、電車で移動した方が確実かなと思っていましたが、重いバックパックを担いで、電車に乗るもの嫌だったので、リムジンバスを使いました。羽田⇔成田を結ぶリムジンバスは片道3,100円と高いのですが、驚いたのは時間の正確さでした。乗り継ぎまでの時間はたっぷりありましたが、1時間ほどで到着しました。ちょっと高いけど、素晴らしいですね。
だいたい20~30分間隔で運行しているので、それほど待たずに乗車できます。
搭乗手続きが始まったのは、出発の2時間前からだったので、ラウンジでビールを飲みながら待っていました。バックパックの外側のポケットに入っているものは全て中に入れなければいけません。外付けにしていたバンダナは無くなっていました。(^^ゞ
マレーシア航空の機内食
日本からマレーシアまでは「マレーシア航空」を使いましたが、機内ですることは、食べる・寝る・鑑賞のどれかだと思います。格安チケットでも同じエコノミーならば機内食に差はありません。21時40分発のクアラルンプール行きでしたが、しっかりと食事が出るんですね。成田からクアラルンプールまでの飛行時間は7時間ほどですが、着陸前にはおにぎりもありました。
クアラルンプールには早朝4時に到着し、コタキナバル行きの9時の便に乗り継ぎます。この乗り継ぎの待ち時間が長くて疲れますね。クアラルンプールからコタキナバルまでのフライト時間は2時間半なので食事はないのかなと思っていましたが、しっかり朝食がありました。機内食の選択肢はだいたい二択ですよね。「ビーフorフィッシュ」みたいなやつですが、英語が聞き取れないこともあり、聞き取れた方になりました。「フライドライス」って何かな~?と思っていましたが、チャーハンなんですね。パサパサのお米で味はイマイチですが、出されたものは残さず何でも食べるタイプなので、キレイに全部食べました。
帰りはコタキナバルから成田までは、7時40分発の早朝便です。味はそれなりです。コーヒーやソフトドリンクは何度かおかわりを運んで来てくれます。
クアラルンプール国際空港
国外に出たのは久々ですし、東南アジアは初めてでした。マレーシアの首都にあるクアラルンプ-ル国際空港は3つの建物からなる、世界トップクラスの広さを誇る空港です。ハブ空港として大きな役割を果たしているとともに、開港してから間もないということもあり、最先端の設備を誇っています。
国内線の乗り継ぎは「エアロトレイン」で、Bゲートに移動しました。乗り継ぎまでの時間が5時間もあったので、空港内をブラブラしていました。
空港内の両替所のレートはさほど悪くないようなので、暇なので両替も済ませておきました。
かかる費用のほとんどは日本で精算済みですが、紙幣は3万円分両替しておきました。写真の50RM、20RM、10RM、5RMの他、1RM札と硬貨もあります。
クアラルンプールの朝です。空港内は快適な気温ですが、外に出ると早朝でもかなり暑いと思います。
乗り継ぎゲートに移動して、搭乗案内が始まるのを待ちます。目的地に着くまでは、待ってばかりですね。スマホを使うと、バッテリーを消耗するので、周りの人や外の景色などを見ていました。どこに行ってもスマホの画面にかじりついている人は多かったです。言葉の通じない国では、言葉以外の情報で色んなことを察知しなければなりません。小さな液晶の先にある世界よりも目の前に広がる現実をしっかり見たほうがいいと思いました。
やっと乗れます。クアラルンプールからコタキナバルまでは2時間半のフライトです。日本に戻るまでは、フライトの遅れなどは全くなくて、予定よりも早く到着したぐらいでした。
座席は窓側の一番前が好きですね。テーブルはちっちゃいけど、足元が広いし、外の景色が見えるので。
やっと離陸。雲の上の世界が好きです。
コタキナバル空港
コタキナバル空港にも定刻通りに到着しました。南の国は時間にルーズという話も聞きますが、フライトに関しては全く問題なしでした。5万円そこそこで北海道からここまで来れるなんて、本当にありがたいことです。出口でホテル前まで行くエアポートバスのチケットを買い、行き先のホテルを告げると親切に乗り場を教えてくれました。
一歩外に出て感じたことは「とても蒸し暑い」ということです。北海道では感じることのない湿度の高さで、低温サウナの中にいるような感覚になりました。乾季といっても、カラッと乾いているわけではありません。
バスは気兼ねなくシートを倒せる一番後ろが好きです。
コタキナバルのホテル
「言葉の壁」の記事でも書きましたが、4泊6日の日程で、コタキナバル市街に3泊、山小屋に1泊しました。市内のホテルの選択肢はとても多く、空室も十分あったので、クチコミ評価などを見ながらじっくり選びました。バックパッカー向けの宿は1,000円程度で泊まれますが、一人ということもあったので、比較的新しい建物で、エアポートバスの終点が目の前にあり、市街地まで徒歩で行ける「ドリームテルコタキナバル」を選びました。登山に必要のない荷物を預けられるよう前泊・後泊とも同じホテルにしました。あまり大きいホテルではありませんが、テレビ、エアコン、冷蔵庫、シャワーなど、必要なものは揃っていました。
- 【宿泊費】14,604円(3泊)
ホテル前にはエアポートバスの最終停留所があるので、乗り越すことはありません。運転手がイケメンでした。(笑)
初日は窓のないキングサイズベッドの部屋でした。
キナバル山から下山した後は2泊予約していましたが、後泊の部屋は見晴らしのいい9階のツインルームです。
夕方に少し雨が降ることがありましたが、滞在中はずっと天気が良くて、毎日キレイな夕日が見えました。
山小屋の予約や入山にかかる費用などは「山小屋の確保」で書きました。
関連レコ
キナバル山トレッキングに関しては、ヤマレコにアップ済みです。とても長いですが、詳細に記録しています。興味のある方はどうぞ。