自分の窯を持つ決心がついたのは、50歳の誕生日を迎えた2023年の年末でした。
ロクロの指導を受けていた屯田窯の清水先生には10年前に「それだけ作るなら自分で窯を持った方がいい」と言われたことがありましたが、当時の制作環境が良かったこともあり、それほど必要性を感じていませんでした。
イベントに出展する時期に集中的に制作をし、それが終わったら山へ入るようになっていました。陶芸をする期間は正味2ヶ月ほどだったと思います。
コロナパンデミックは私達の生活と思考を変える大きなきっかけになったと思います。良かったのか悪かったのかは分かりませんが、アクセル全開だった人類の動きを止めるために急ブレーキがかかった感じでした。
外出自粛要請で行動を制限され、堂々と人に会うこともできなくなりました。それまで自分がやってきたことや自分自身を見つめ直す期間だったと思います。
作りまくって、売りまくって、買いまくって、捨てまくる「消費主義」について考えるようになりました。
粘土に触れている時は癒されるし、窯出しはいつもワクワクします。しかし、それは私の単なる自己満足に過ぎず、このままモノ作りを続けていっていいのか、疑問と憤りを感じながら動き始めています。
私は始めたことを終わらせるために走り始めたのだと思います。
開窯まで色々な出来事があり、その後もハプニングの連続です。陶芸人生の後半の記録については、こちらのカテゴリに残していくことにしました。