何をしている自分が好きですか?

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8月29日(金)小雨

廃業した窯元「工房きいちご」から譲り受けた粘土や釉薬を使って、作品を作る「きいちごプロジェクト」を進行中です。

引き上げてきた粘土は全部で500kg以上ありました。素焼き前の粘土は再生できますが、冬になると私のアトリエは氷点下になります。

粘土の保管に適した場所があればいいのですが、去年は12月に入ってすぐに凍り始めました。凍結と融解を繰り返すと質も悪くなってくるので、今年中に使い切りたいと思っています。

しかも、半分は使用済みで正体不明なのです。乾燥して石のようにカチカチになったものは、布に包んで、水を張ったバケツに数日間浸し、柔らかくなったところで、水を切って、練り返します。

これを手作業でやると相当な時間と手間がかかります。廃材のリメイクと同じで、材料は新品を使った方がずっと楽なのです。

ここで旭川の稲垣先生(一路窯)から譲り受けた土を練るためだけの機械「土練機(どれんき)」の登場です。先週末、初めて動かしてみたのですが、その仕事ぶりは圧倒的でした。とにかく早い!

土練機はとても高価で、私が譲り受けたものを新品で買うと50万円以上もするのです。

カチカチ&ドロドロ粘土を均一にするために何度も練り返し、すでに200kgの再生が終わりましたが、土練機がなかったら匙を投げていたかもしれません。

窯の設置でお世話になった陶人社の柴田さんが、陶芸家の三種の神器は「窯・ロクロ・土練機」だと言っていましたが納得しました。

私のアトリエでも陶芸体験ができますが、電動ロクロを使った成形に興味を持つ方が多いです。しかし、これがなかなか難しく、形を作るよりも壊す方が多いのです。

私はロクロの技術を習得したくて、屯田窯の清水先生に何年も指導を受けました。一日で100個湯呑みを挽いて、全部壊すというのを何回もやりました。未だにまともに挽けるのはマグや茶碗など、小さいものばかりですが、身体が勝手に動くようになるまで、挽いては壊しを繰り返しました。

再生した雑粘土でもロクロのトレーニングをするのには十分です。素焼きをし、釉薬を掛けて、本焼きをすれば、世界で一つの作品にもなります。

心の豊かさはお金や地位に関係なく「何をしている自分が好きか」を知っていることだと思います。

私の「人生」と「好き」を集めたアトリエがとてもいい空間になってきました。

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